「 出会い系 」各社が語る、Facebook 業界参入のインパクト

Facebookがデーティング(Dating:出会い系)サービス業界への参入を発表した。既存のデーティングアプリのなかには、少なくとも表向きには、この大手テック企業を歓迎しているものもいる。バンブル(Bumble)は「ワクワク」するし「コラボレーションを模索する」という。マッチグループ(Match Group)の親会社であるIACのチーフエグゼクティブ、ジョーイ・レビン氏は「状況は悪くない」と述べた。

それは楽観しすぎという結果に終わるかもしれない。Snapchat(スナップチャット)の例があるように、どの業界でもFacebookの参入は、すでにその業界にいる企業に破滅をもたらす可能性がある。Facebookの主要サービス利用者は毎月22億人、そこへのデーティング機能の導入によって、より規模の小さなアプリだけでなく、5000万のユーザーがいるTinder(ティンダー)でさえ、どうやって生き残るのかという疑問が生じている。この動きはまた、多くのデーティングアプリがマーケティング戦略で、Facebookに依存していることを考えると、ほかの課題も生まれている。

Facebookとの関係は複雑

ニッチ分野に特化したデーティングアプリ(Tinderが主流であり、ほぼ唯一の対抗手段)にとって、Facebookは彼らの基準に適合する人々を見つけるための重要な手段だ。最近ローンチされたデーティングアプリ、トゥナイト(Tonight)は自然発生的な出会いに興味を持つ人々に応えるもので、創設者でCEOのイブ・ピーターズ氏は、ウィム(Whim)という以前のバージョンのアプリでは、Facebookやインスタグラム(Instagram)で対象をかなり絞った広告が、もっとも成功したと述べた。トゥナイトは、もっとも需要のあるマーケットのひとつ、ニューヨークで広告を購入しており、同地域の上位5大学の卒業生をターゲットにしている。

一方、イギリスを拠点にするトフィー(Toffee)は私立高校の卒業生に限定し、Facebookを使って、そうした高校やその他に通っていた人々に宣伝を行っている。

「よりお金のかかるフィルターを追求することがないように知恵を絞っている。特定の地域に住む特定の学校に通っていた、この年齢の人々を対象にする、というようなことを謳うよりも、我々は業界に目を向けている」と、トフィーの創設者でありCEOのリディア・デイビス氏は述べた。

招待者限定のデーティングアプリ、インナーサークル(The Inner Circle)は、年齢、性別、端末によって対象者を絞るFacebookおよびインスタグラムキャンペーンを実施していると、創設者でCEOのデビッド・バーミューレン氏は語った。

偏見をなくすかもしれない

                             
デーティングアプリの創設者たちは、Facebook参入発表直後、そしてその機能がローンチされたあとでも、Facebook広告へ出費する計画でいるという。彼らによれば、おそらくFacebookの参入で、彼らはもっと成功するだろうという。しかし、Facebookがそのデーティング機能に対して、自身のプロダクトのなかで、どれだけ力をいれるつもりなのかまだわかっていない。

エリートシングルズ(EliteSingles)の親会社であるスパークネットワーク(Spark Networks)のブランドマーケティングディレクターを務めるバート・ビッサー氏は、オンラインデートに対してソーシャルネットワークはすでに影響力を持っており、彼の会社はFacebookの発表を脅威に感じていないと述べた。

「デーティングを目的にしたFacebookの利用はすでに行われている。ただこういう形ではなかっただけのことだ。そして我々はこの動きをポジティブな変化としてみている。というのも、それにより市場がさらに拡大し、オンラインデートが社会の一部として受け入れられるようになるだろうからだ」と、ビッサー氏は述べた。

Facebookの参入によってオンラインデートへの偏見が軽減するかもしれないとデイビス氏は同意し、Facebookがサブスクリプションモデルではなく、むしろ一般的に広告に依存していることががその見通しに影響を与える可能性があるとつけ加えた。トフィーは100%サブスクリプションベースだ。

「人々は無料という言葉にますます疑いを向けるようになっている。なぜなら、タダなものはないからだ。我々はざっくばらんに、悪くないクオリティのジントニックの価格で、ユーザーに迷惑をかけるようなことはしないと、伝えている」と、デイビス氏はいう。

しかし、デーティングサービス企業のなかには、Facebookを目の上のこぶのようにみているものもいる。

「アプリケーションを送信すると、『ありがとうございます。のちほどご連絡します』というモジュールが表示され、 Facebookの担当者に連絡を取らなければならなかった」と、トゥナイトのピーターズ氏は述べた。

不倫をしたい人たちのためのサイト、アシュレイ・マディソン(Ashley Madison)は、Facebookの広告チーム担当者と最後に話をしたのは9月で、DIGIDAYが目にしたメールには、同サイトは「いまの時点では、新規デーティングサービス広告主への申請は認められない」とあった。

Facebookの広報担当者は、同社の広告ポリシーを満たしている限り、新規広告クライアントを受け入れると述べている。

Googleで「浮気妻」を検索

有料広告以外にも、ほかのアプリは主にFacebookやインスタグラムでインフルエンサーマーケティングを駆使している。ユーザーとユーザーが出会った人々を結びつけるハプン(Happn)は、インフルエンサーを利用していると述べる。レスビアン専用デートアプリのハー(Her)は、もともとタンブラー(Tumblr)、インスタグラム、YouTube上のレスビアンデジタルインフルエンサーとパートナーシップを通じて規模を拡大し、Facebook、インスタグラム、Twitterのインフルエンサーマーケティングやソーシャル広告にも引き続き出費していると、シニアグロースマーケターのノア・ガッターマン氏は述べた。

アシュレイ・マディソンは主にGoogle検索に依存し、Snapchatも使用している。アシュレイ・マディソンの親会社であるルビー・ライフ(Ruby Life)のプレジデントであり、チーフテクノロジーオフィサーのルーベン・ビュール氏は、Snapchatのキャンペーンは「非常に成功」しており、投資収益率は92%だったという。

「キーワードの購入は、マーケティング費用全体の約65%、ときにはそれ以上のものになる。いくつかの用語で従来型サイトと競合するので、不倫、浮気妻といった我々のプロダクトに特有の用語も購入している」と、ビュール氏は語る。

Tinderや数十のその他デーティングサイトを所有しているマッチグループは、その戦略についてコメントを拒否している。Tinderがモバイルアプリストアで検索広告に出費しているのは明らかだ。ライバルのデーティングアプリ、バンブルをApple App Storeで検索すると、Tinderが一番に表示される。

ほかのサービスは、予算をオフラインキャンペーンに絞っているという。エリートシングルスのマーケティング戦略は、「オンラインチャネルとテレビ広告を重視しているオフラインチャネルのハイブリッドモデルであり続ける」と、ビッサー氏はいう。

バンブルはカレッジのキャンパスではじまり、依然としてカレッジアンバサダーや都市のリードに頼っている。この女性重視のアプリは、ロサンゼルスからコーチェラに続く、ハイウェイの看板や空港のごみ箱などの屋外広告にも出費している。

参考文献:DIGIDAY