SNSが変える「ネット恋愛」の景色「相席屋」にもアプリが登場

「何人かとご飯に行ったけど、まだなかなか合う人がいないんですよ~」「会社の先輩でも、これを使って彼女を見つけた人がいますよ」。最近、飲みの場などでこんな話を聞く機会が増えた。一昔前であればナンパの武勇伝か合コンでの「戦績」が話題の中心だった男同士の飲み会でも、頻繁に俎上に上がるのはスマートフォン(スマホ)を中心に利用される、「マッチングアプリ」の存在だ。

「出会い系」と総称され、必ずしも良いイメージで捉えられてこなかった恋愛・婚活支援サービスの分野に変化が訪れている。

背景の1つには利用者心理の変化がある。かつては「ネットで恋人を探すなんて…」と否定的な見方も強かったが、若者を中心にそうした抵抗感は薄れてきているようだ。フェイスブックなどSNS(交流サイト)やスマホが普及し、人間関係をオンラインで補強することは至極当たり前のことになった。そうした変化が、恋愛の分野にも影響を及ぼしているようだ。

もう1つには、安全性を担保するための企業の努力がある。それを以下、見ていこう。

特に業界でユーザー数・知名度共に雄と言えるのが、エウレカ(東京都港区)の「Pairs(ペアーズ)」や、サイバーエージェント子会社の手がける「タップル誕生」。累計会員数はペアーズが570万人で、タップル誕生は230万人。サイバーエージェントでは「インターネットで『恋愛』を当たり前の世の中へ」を掲げ、グループで4つの関連サービスを展開する。

使い方はこうだ。ペアーズはSNS(交流サイト)のフェイスブックのアカウントを取得していることなどが条件。入会の際にフェイスブックのアカウントを認証することで本人確認をするためで、ユーザーは運転免許証などでの年齢確認を受けた上で本登録し、プロフィールを作成する。利用料金は女性は原則無料、男性は無料でも利用できるが、機能が制限されるため有料会員(1ヶ月プラン3480円など)での利用を推奨される。

ペアーズは気になる相手を写真から選び、マッチングすればメッセージをやり取りできる
一方、タップル誕生は専用のアカウントを取得して新規登録するほか、フェイスブックやブログサービス「アメブロ」のアカウントでの登録も可能。ニックネームや生年月日などを記入して本登録するが、ファッションやグルメなど自分の趣味のカテゴリーを選び、自分に合った相手を探しやすいというのがウリだ。こちらも男女共無料で利用できるが、やはり男性は有料会員(1ヶ月プラン3400円など)でない場合は機能が制限される。

24時間・365日の監視体制

登録してからは写真やプロフィール内容から、気になる相手を探してアプローチするというのは基本的に各社とも同じ。サービスによって細かな違いはあるが、ここでは割愛する。

ペアーズ、タップル誕生とも強調するのが男女間の仲を取り持つ「マッチング」の数と安全性だ。

顔写真や居住地だけでなく、共通の趣味などを参考にして気になる相手を選ぶことができ、従来の結婚相談所や「お見合いサイト」よりも気軽にアプローチできるのがこれらのサービスの特徴。男性の場合はそれなりの出費は伴うものの、悩みに悩んで相手を絞り込むというよりは、フェイスブックの「いいね!」を押す感覚に近い。実際、累計のマッチング数はペアーズが4000万組、タップル誕生は4780万組に上る。

政府統計によると、SNSを通じた18未満の子供の性犯罪などの被害は2016年に1736人で過去最多となった。利用者が成人であっても、出会い系サイトでは古くからいわゆる「サクラ」の存在も知られ、業者が絡んだトラブルは今もって後を絶たない。問題のあるサービスやアプリは毎年数多く報告されており、企業側にとって、こうした悪質業者とは一線を画して、「ユーザーから信頼して使ってもらえることがサービスの生命線」(エウレカ広報)との意識は強い。

国内オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場規模予測(2015-2022年)


市場規模推移

タップル誕生ではサイバーエージェントが独自開発したシステムを使って24時間・365日不適切な画像やメッセージを監視し、ユーザーから違反などに関する通報があった場合は担当者が全件目視でチェックする。ペアーズでもフェイスブックのアカウントをベースにした本人確認に加え、24時間・365日の監視体制をウリにする。

こうした監視体制に加えて、上記のようにユーザーの認証やアカウント開設にフェイスブックなどのSNSのアカウントを登録させることで、ソーシャルの力で実在の人物であることを担保しているのも近年のサービスの特長だ。企業は、一定以上の期間使われて、実在するらしい多くの友人と交流しているSNSアカウントであれば、その登録情報は確からしいと判断できる。ユーザーは、SNSアカウントを運営会社に把握されているから、他人の写真や架空のプロフィールを登録することができにくくなる。

サイバーエージェントによると、ネットを活用した恋愛・婚活サービスの市場は2017年に208億円で、2022年には577億円に拡大すると予測。5月にはサービスを提供する複数の企業が業界健全化のための勉強会を立ち上げ、今後はガイドラインの整備などに乗り出すという。

「相席屋」にもアプリが登場

リアルの場での出会いをサポートする企業にも、スマホアプリなどを活用してサービスを充実させようとする動きが広がる。男女のマッチングをウリにする居酒屋「相席屋」を展開するセクションエイト(東京都品川区)は、自前の「相席屋アプリ」を導入しており、各店舗の空席情報や限定クーポンを配信。さらに、相席になった相手との相性診断をしたり、気になった相手と直接メッセージの交換をしたりできる機能もある。

相席屋は現在全国に70店以上を構え、成功を受けて外食業界では一時類似の業態の店が増殖。ただ、アプリによるマッチング後のサポートなどもあり、競合とは一線を画した高成長を続けている。外食店だけでなく、足元では結婚相談所や結婚式場を開設するなど新たな分野にも進出している。

ユーザー側の意識の変化も相まってその存在感は高まっている恋愛・婚活のサポートサービス。拒否感がある読者が多いかもしれないが、この国で恋愛結婚が主流になってたかだか数十年しか経っていないことを考え合わせれば、長い歴史を持つお見合いや結婚相談所と同様に、社会に「当たり前のもの」として受け入れられていくのかもしれない。

参考文献:日経トレンディネット

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