農家専門の婚活サイト設立者・岩立さんが伝える、「農家の嫁という就職はいかが?」

婚活という言葉が一般的になった昨今、驚くほどたくさんの婚活方法が登場しています。結婚相談所や婚活サイトでの活動のほか、特にお見合いパーティーはイベント化、ニッチ化が顕著で、料理婚活、バス旅婚活、オタク婚活といった趣味を共有するものや、職業を絞った自衛隊婚活など、さまざまな企画が開催されています。

そしてついに、「田舎暮らしをしたい」「農業をしたい」という女性と、農家の後継ぎをつなぐ、究極にニッチな婚活サイトが登場しました。その名も「Raitai(ライタイ)」。蕾(つぼみ)と苔(こけ)に由来し、どちらも“芽吹く”意味があることから、良縁が芽生えることを表現しているそうです。

しかし、なぜ「農業専門」というニッチ過ぎる分野に参入したのでしょうか? サイトを立ち上げた岩立友紀子さんに、お話をうかがってきました。

―いきなり失礼ですけど、見た感じ、農家っぽくないですね(笑) 丸の内に居そう。

そうですか? 実は昔、丸の内OLでした(笑)

―確か証券会社にお勤めだったとか。

はい。1年半くらい勤めていましたが、働いているうちに、もっと手ごたえというか、手触りがほしかったんです。人って、食べ物を食べて生きているじゃないですか。だから、食べるものを作る方が、実体のある仕事だなと思って、それって農業だな、よし、農業やろう! と、証券会社を退職しました。

その後は、宮崎県の農業法人に就職して、農業の基礎を学びました。1年間の研修を経て、これからどうしよう、どこで農業をしよう、と模索していたんです。あちこちの農家さんに短期就農させてもらったり、農業体験イベントに出てみたり、転々としたのですが、なかなかうまくいかなくて…。それで、「とにかく自分でやってみよう!」 と、柏市に畑を借りて、1人で農業を始めました。

―1人で農業を始めたんですか! 大変だったんじゃないですか?

大変でしたよ(笑)。筋力・体力面はかなりきつかったですね。1人だと時間も足りないし、効率も悪い。とにかく仕事が多くて、考えている暇もなかったです。夜中まで野菜の袋詰めをしている私を見て、両親が手伝ってくれたこともありました。

農業って、女性が一人でやるにはやっぱり厳しいです。

―それでも辞めなったのは何故ですか?

私にとって、農業とは「生き方」なので、農業を辞めることはまず考えられませんでした。だから「家族で農業をしたい」と考えるようになったのも自然だったかなと。農家に嫁ぐのもアリかなーと思って、農業婚活イベントに参加したところ、農家の長男である主人と出会ったんです。

―なるほど! 転職と結婚が同時に叶ったんですね。とても理にかなっていますね。

はい! 主人と出会って結婚できたことで、「これで一生農業ができる!」 と、すごく安心しました。

私みたいに農業をしたい女性は、実はけっこう居るんですよ。農業専門の就職イベントで相談員もしているのですが、相談に見える方も、3~4割は女性です。

でも、女性が農業をやる大変さは身をもって経験していたので、安易に農業を勧められなかったんですよね。せっかく興味を持ってくれたのに、実際就農した後のロードマップを提示してあげられなくて…。ずっともどかしかったんです。それで、女性が永く農業に携わるには「農家の嫁」になるのが一番だって痛感して、農家の人とのマッチング、つまり婚活だったらお手伝いができるって思ったんです。

―岩立さんご自身がロールモデルなんですね。サイトに登録している女性も、ご結婚前の岩立さんのように、就農を希望している方々ですか?

「農業をしたい!」と強く思っている、というよりも、「農家へ嫁ぐのもアリだな~」と考えている人ですね。普段は一般の会社に勤めていて、いずれは田舎暮らしがしたい、という感じでしょうか。

「農家に嫁ぐ」が選択肢に入ってくる人たちなので、年齢もさまざまですが、傾向としては20代後半~30代が多いです。関東エリアの他は、札幌や福岡の女性は多いです。地方都市は、男性が仕事で地元を離れてしまうことが多いので、独身の女性は多いですから。

―そうなんですね。反対に男性側は、農家の後継ぎということですが、傾向や特徴などありますか?

農家の男性は、畑や野菜と向き合っている時間が長いので、女性と話すのに慣れていない人が多いんです。よく言えば職人気質というか。でも、コミュニケーションって婚活する時だけじゃなくて、結婚後も、夫婦で協力して家庭を築く上では必要不可欠ですよね。だから、お相手とどんな風に話を進めていったらいいのか、など、サポートさせていただくこともあります。

―サイトでは具体的にどんな風に活動をするのですか?

身分証明書のコピーや独身証明書(本人が独身であることを公的に証明する書類で、本籍地のある区市町村で発行してもらえます。)など、婚活に必要な書類を提出していただいたら、サイトに登録している異性のプロフィールが見られるようになります。

気になるお相手がいたら、「気になる!」ボタンを押して、お互いが「気になる!」同士になったら、メッセージをやりとりして親交を深めます。そして、「会ってみよう」となったら、初めて会う約束をするのですが、緊張しちゃうな、心配だな、という場合は、管理人の私も同席します。

―実際に会って、また会いたいな、となったらご交際に発展していくのですね。これまでにあった具体的な成果などはありますか?

サイトがオープンして3ヶ月以上たちますが、もう実際にお2人でお会いされている方が、把握しているだけでも6組誕生しています。あと、サイトではありませんが、主催している「田舎de婚活」という婚活イベントは、7年で11組を成婚につなげました!

―完全におせっかいオバチャンですね(笑) 今後はどんな展開を考えていますか?

まずは成婚カップルをたくさん出すことです。そのためには、活動する方を増やす必要があるので、農家の嫁のリアルを伝え続けたいし、例えば講演にも、どんどん出かけていきたいと思います。あとは、リアルで会える農業婚活イベントも、いろいろな人に興味を持ってもらえるよう、新しい企画を実施していきたいです。幸せな夫婦をたくさん生み出したいですね。

初めてお会いした岩立さんは、とにかくよく笑う、元気な方でした。お話をうかがえばうかがうほど、底なしの行動力に圧倒されます。

今までの婚活にはないタイプのサイトですし、始めるのに不安は無かったのか、うかがうと、「もちろん不安が無かったわけじゃないですけど、私、けっこう頑固なんで(笑)やるって決めたらやっちゃうんです。できなかったらどうしよう、と考えるより、できるにはどうしたらいいだろう、しか考えていないんです。」と、サラリとおっしゃるのが印象的でした。

そんな岩立さんのサポート下だったら、何かと不安の多い婚活も、安心して取り組めることでしょう。田舎暮らしや農業に興味があって、なおかつ婚活中という方は、Raitaiで活動してみてはいかがでしょうか?

参考文献:T-SITE]