進化は止まらず。これからの“出会い系”サービス

繋がるをテーマにお届けしてきた「インターネット鵜の目鷹の目」。

最終回のテーマは、インターネットを使って知らない者同士が繋がる形の象徴的サービスとして、誰もが想像しやすい“出会い系”サービスについてです。といっても、別にここで下世話な話をするつもりは毛頭ありません。なぜなら、今回僕が非常に面白いと思い、わざわざここで取り上げようと思う“出会い系”サービスは、いわゆる“出会い系”サービスではないからです。

世界最先端の出会い系サービスは、もはや出会い系サービスじゃない!?

「Tinder」をご存知でしょうか? ここ最近、テレビやWeb、雑誌で取り上げられ話題になっている、アメリカのIACグループが運営する“出会い系”サービスです。

公表されているデータによると、マッチング回数は2016年3月の段階で100億回、2017年2月の段階で200億回。実に全世界の人口の3倍近いマッチングが行われているほど旬なサービスに成長しています。そして、「Bumble」。こちらはまだ日本での本格運営は始まっておらず、知っているという人は相当な通です。まさにこれからの“出会い系”サービスです。

今回この2つをまとめてとりあげる理由は、新しいだけでなく、“繋がる”に対する思想が今までの“出会い系”サービスとはまるで違うものを体現しているからです。「Tinder」は皆さんがイメージする、いわゆる“出会い系”ではなく、“社会的な繋がりを作り出すサービス”と自ら謳っています。

これは双方がお互いに対して興味を示さないとマッチングしないどころか、何の通知も届かないことから、より濃縮されたマッチングが行われるという特徴があります。あえて不特定多数の異性と不用意にマッチング数が増えないような仕組みになっている、なんてところが新しいわけです。

一方、「Bumble」は、「Tinder」の当時のスポークスマン役であり、共同創業者として有名だったWhitney Wolfeが新たに立ち上げた、さらに一歩も二歩も先行く“出会い系”サービスです。

一部では“フェミニストのTinder”と評され、レディーファーストをテーマにしている「Bumble」は「Tinder」の機能に加え、女性の方からチャットを開始しない限り、マッチングがスタートしないという仕組みが採用されています。

女性の方も相手の男性に興味があり、かつ自分のペースで自らコンタクトをとらないとスタートしない仕組みですから、最新の出会い系サービスであるはずなのに、その最も大事なマッチング数やマッチング率に関しては、その前に作られた「Tinder」よりも当然劣っています。

ですが、あえて常に女性上位な関係で、男性側が“自分は焦ってないからよく考えてね”と気を使い続ける空間でのマッチングなので、一般的な出会い系ではほとんど考えられないような、信頼関係のようなものが自然と生まれるのです。

女性に対して気遣いをすることで、“出会える数”から“出会いの質”を重視する形に進化した海外資本の最新“出会い系”サービスですが、一方で国内にもそういったトレンドを掴み始めているサービスがあります。

サイバーエージェントのグループ会社が運営している「Qunme(キュンミー)」は、従来の“出会い系”サービスの特徴を残したまま、「Tinder」的な特徴もハイブリッドで取り込み、さらにAIが好みの顔やタイプを学習し、おすすめの表示を調整してくれたり、自分の写真のどれがウケがいいのかと言ったKPIを明示化することで、より効果的なアピール方法をアシストしてくれます。

今後、昔のお見合いの“世話焼きおばさん”のように、AIとチャットで会話することや、自分のGPS情報やインターネットの閲覧動向などから世界で一番相性のいい、自分にぴったりの相手を見つけてくれるサービスも生まれてくるでしょう。

“出会い系”サービスというと、いわゆる下世話な目的で使うものと決めつけて、その登録者を盲目的に軽蔑したり、毛嫌いする人も。ただ、これだけスピーディーな時代ですし、その認識は今後変わるかもしれませんし、変えた方がいいかもしれません。

恋人だけでなく、友人や就職先に関してもディープラーニングの仕組みは効果的でしょうし、社会のつながりをより円滑に、そして多彩な繫がりをAIがコーディネートしてくれる、そんな“出会い系”サービスが登場する日もくるかもしれませんよ。

参考文献:DIGIMONO!